Web Advertising Bureau | Web広告研究会

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『「Instagram」と「755」、話題のスマホアプリの利用実態で知るモバイルサービスの現在』 2015年2月24日開催 月例セミナー イベント報告

  • 掲載日:2015年4月20日(月)

モバイル業界注目のサービスを提供するキーマンをゲストに、スマートフォンユーザーを理解し、コミュニケーションのヒントを探る。Web広告研究会の2月月例セミナーの第2部では、カメラアプリ「Instagram(インスタグラム)」、トークアプリ「755(ナナゴーゴー)」に注目。

Web広告研究会 モバイル委員会委員長の森直樹氏をモデレーターに、日本インスタグラムの長瀬次英氏、7gogoの森正樹氏、サイバーエージェントの野村智寿氏をパネリストに迎えて、ユーザーの実態やビジネス展望などについて、パネルディスカッションが行われた。

モバイル利用で注目を集めているInstagramと755


日本インスタグラム
代表責任者
長瀬 次英氏

米国発のカメラアプリで、日本でもユーザー数を伸ばしているInstagramについて、長瀬氏はブランドであれ、個人であれ、一定の世界観を持って写真を投稿するようにしたほうがフォロワーを得やすいと説明する。長瀬氏自身も、最初はフィルタなどを使わずに写真を投稿していたが、他の人の写真などを見て触発され、統一感を持たせるようにしているという。


株式会社7gogo
代表取締役社長
森 正樹氏 


株式会社サイバーエージェント 
宣伝本部長 
野村 智寿氏 

755は、2014年末から2015年初に大々的にプロモーションを行ったスマートフォン向けトークアプリ。開発は、サイバーエージェントのグループ会社である7gogoが行っている。堀江貴文氏とサイバーエージェントの藤田晋氏のアイデアをきっかけに、2014年2月にリリースされ、著名人と気軽に交流できることが特徴だ。

モデレーター
Web広告研究会
モバイル委員会 委員長
電通 CDC 部長
森 直樹氏

まず、モデレーターの森直樹氏は、第1部のニールセンの調査として、米国でInstagramが2013年比+32%で利用者数を増やしたことが示されたことに触れ、日本の状況を長瀬氏に質問する。

長瀬氏によると、Instagramのユーザー数は、2014年10月ごろから毎月100万人単位で急激に増えているという。グローバルでは、2014年12月にInstagramの月間アクティブユーザー数(MAU)が3億人を突破し、Twitterを超えたことが発表されているが(Twitterは2014年10月時点で2億8400万人)、InstagramはTwitterの2倍の早さで2億人に達していることを長瀬氏は示した。

755の利用者状況について森正樹氏は、2014年12月頭に60万ダウンロードを達成し、年末年始のプロモーションを経て、2015年2月時点のダウンロード数は約6倍の350万ダウンロードになっていることを明かした。また、PRを企画する段階でもオーガニックのダウンロードが多かったと説明する野村氏は、ペイドメディアをしっかりと使ってプロモーションを行った後も、オーガニックのダウンロード数が非常に多かったと話す。


写真のクオリティにこだわる日本のユーザー

「755がメディアで認知度を上げ、オーガニックのダウンロードが増えていくのは興味深い」と話す森直樹氏は、続いてサービスの利用者層について話を移す。

Instagramは、若年層の利用者が多く、6:4くらいの割合で女性が多いと話す長瀬氏は、Instagramには写真を投稿するユーザーと閲覧するだけのユーザーの2種類があり、現時点の国内では閲覧目的のユーザーが多いと説明する。言語が関係ない、写真というシンプルなコンテンツを中心に好きなものをフォローでき、エンゲージメントを高めることができるInstagramでは、若年層が楽しみやすく、セレブリティの写真を見たくて活用が高まっているのだという。他にはない、セレブリティの珍しいプライベート写真が見られることに惹かれて人が集まっているのだ。

また、日本人は海外と比較して写真のクオリティが高く、フィルタを使いこなしていると話す長瀬氏は、スマートフォンのカメラ機能が向上するにつれて、日本では年配者の利用が海外よりも多いのではないかと分析する。

次に、利用者層の変化について問われた長瀬氏は、最初は写真が好きな人やカメラマン、アーティストなどが集まり、それらのユーザー層が投稿した写真に影響を受けた人が写真投稿するようになる、というサイクルがあると話す。また、「かっこいい」と感じた写真でどのようなフィルタが使われているかに興味を持ち、同じような写真を投稿したり、写真を見て楽しんでいる人が増えているようだ。

755も若年層がアクティブであると話す森正樹氏は、全体的な男女比はほぼ同じだが、30~40歳は男性が少し多く、アイドルのファン層が集まっているのではないかと説明する。

755のプロモーションの実際とInstagramの企業活用

年末年始に大規模なプロモーションを行った755に対しては、デジタルとマス媒体の効果の違いについて話がおよんだ。

トータルで約8億円の広告費をマス媒体とWebで使ったと話す野村氏は、それによって300万ダウンロードを得たとすれば、1ダウンロードあたり200円強の獲得コストになると説明する。これは、Webとマス媒体を連携させたメディア設計によって相乗的に効果を出した結果であり、比較的安価に広告効果を得られたという。

マス媒体とWebを同時にプランニングし、Webへの広告費の割り当ては、ある程度決められた予算内から状況を見て柔軟に変更しているが、その際の判断からアクションまでを短時間に行えるかどうかが肝になるのだという。最終的に、755ではTwitterからの流入比率が41%と多くなったほか、YouTubeも非常に効果的だったと野村氏は話した。また、「メディアの違いによって性年齢別の反応の違いがあったか」という質問に対しては、メディアの違いよりも、どのターゲットに向けてクリエイティブを作り、どのように運用を行うかが重要だと説明した。

写真というシンプルなメッセージでブランドイメージを伝える

続いて、話題は企業のInstagram活用に移る。Instagramでは、2013年11月ごろから米国、カナダ、欧州で企業アカウントの活用が始まっており、ターゲットユーザーに写真を見せることができるようになっている。ここで重要なのは、ユーザーが共感して影響を受けるような、クオリティの高い写真を投稿することだ。Instagramは、ブランディングに特化したプラットフォームだと考えるといいと長瀬氏は説明する。

一例として、米国の乳製品ブランド「CHOBANI」のアカウントでは、ブランドイメージを高めて売上を伸ばしたいという課題に対して、Instagramを活用している。一定の構図で果実や野菜とヨーグルトの写真を見せてレシピの参考になるようにし、朝だけでなく昼や夜の食べ方なども示すことで、写真のクオリティの高さも含めて認知度を上げることができたという。


一定の構図で写真を投稿し、ブランドの世界観を構築

また、ファッションや自動車などのブランドでは、商品を写真の中で見せているものと、クールでファッショナブルな写真を使い分けて投稿し、従来からのブランドのファンがその商品の写った写真を好きになるだけでなく、写真の雰囲気に惹かれてブランドに興味のない新規顧客がフォロワーになる、といった効果が出ていると長瀬氏は説明する。写真というシンプルなメッセージで、ブランドイメージを変えたり、ブランディングを行うことができることがInstagramの力であると長瀬氏は強調した。

「ブランドの写真をまねして、まったく関係のない人が写真を投稿するようなことは起きないのか」と質問する森直樹氏に対して、長瀬氏はブランドごとに特徴のある写真はまねされるが、ブランドにとってそれがマイナスかプラスかは考え方次第であり、他の人が投稿した優れた写真をブランドが提供しているものと勘違いされても、それほど悪いことではないと話す。こうした企業活用は日本ではまだ検討中だが、近日中に発表できると思うので期待してほしいと長瀬氏は説明した。また、755も今後BtoBのメニューを作ることに意欲的だという。

日本企業のモバイル活用の位置づけはまだ低い

最後に森直樹氏は、海外企業に比べて国内企業はモバイルの位置づけや重要度がまだまだ低い中で、2つのサービスがモバイル向けのUIの設計についてどのように考えているのかを問う。

長瀬氏は、Instagramのミッションはその瞬間を世界中にシェアするというもので、モバイルに特化し、モバイル以外は考えていないと話す。PCで閲覧することはできるが、サービスのすべてがモバイルファーストで設計されているという。

一方、森正樹氏は、まだ755はInstagramほど使い方が定まっているサービスではないとし、今後も現在のユーザーの使い方を見ながら新機能の追加を続けていくと話す。その際には、複雑にならないように、できるだけシンプルに機能を追加していくことが重要であると考えているそうだ。


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