Web Advertising Bureau | Web広告研究会

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「IoTはすでに生活に入り込んでいる。マーケッターも知っておきたいIoT最新動向」 2015年5月28日開催 月例セミナー 第1部 イベント報告

  • 掲載日:2015年8月26日(水)

“5年以内にすべての製品をIoTに対応させる(サムスン)”
“IoTを活用しないと多くの企業がトップ企業の座を明け渡すだろう(シスコ)”

デバイスの多様化によって、さまざまなものがインターネットにつながるようになるなか、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が注目を集め、インターネットを通じて収集できる膨大な情報をどのように活用するか議論が進められている。企業のマーケティングにおいても、IoTは見逃せないテクノロジーの1つだと言ってもいいだろう。

「デジタル担当者も知っておくべきIoTの最新動向」と題したWeb広告研究会の5月月例セミナーでは、CES 2015の視察状況など、IoTの最新情報やテクノロジーに関する講演が行われた。

IoTのトレンドをCESの展示から感じ取る


株式会社電通
CDC プロジェクト プロデューサーズルーム 部長
森 直樹氏

第一部に登壇した電通の森 直樹氏は、2015年のCES(Consumer Electronics Show)の視察を中心にIoTの最新動向について語る。

まず、「普段からIoT的なものを使いながら生活するように心がけている」と話す森氏は、自ら体験しているIoT製品として、自動車の運転状況や情報を収集できるコネクタ、LED電球、電動歯ブラシ、スマートウォッチ、体重計などを紹介した。すでに市場には、ネットと接続する製品が登場してきており、データを管理・活用する新しいサービスが登場している。

左から、アプリで制御するLED電球、SIM内蔵のコネクテッドカーデバイス、家庭用のリモート電源スイッチ、アプリで制御するボール型ロボット。どれも市販されている製品だ

毎年1月にラスベガスで開催されるCESは、世界最大の家電ショー。5年連続で参加しているという森氏は、その年々によってトレンドが変化していると説明する。2012年は、スマートテレビやスマートフォン×センサーの可能性が出てきた年だ。2013年はがらりと雰囲気が変わり、主役がモバイルとなって、セカンドスクリーンが注目を集めていた。また、2013年のCESでインターネットの父であるヴィントン・グレイ・サーフ氏の講演を聞いたという森氏は、これからはさまざまなものがインターネットにつながることによって、ビジネスが変わるという話が印象に残ったと述べる。

2014年にはIoTが主要なキーワードとなり、ネットにつながるデバイスが急速に増えた。将来的には、PCやスマートフォン以外のインターネットデバイスが多くなると話題になり、翌2015年はIoTをどのように実用化するかが注目され、スマートフォンに接続されるさまざまなデバイスが展示の中心になっていたという。

一昨年からあったウェアラブルデバイスの展示は、2015年に入り爆発的に増え、フィットネス、ヘルスケア、住宅に特化した大規模展示エリアや、コネクテッドカーの展示が非常に増えていたという。また、Cisco Systemsのチーフストラジストがインターネットのトレンドを示し、IoTやIoE(Internet of Everything:すべてのモノがネットにつながる)の時代であることを示唆している。

Cisco Systemsが示したインターネットの潮流(森氏が内容を一部アレンジ) 

盛り上がりをみせる次世代コネクテッドカー

2015年のCESの会場では、スマートウォッチなどが多数展示されていたほか、家電メーカーがグーグルの「Android Auto」やアップルの「CarPlay」の技術を使い、自動車のダッシュボード端末を出展していたのが特徴的だったという。サムスンのブースでは、スマートウォッチと連動する自動運転のコンセプトカーなども展示されていた。

自動車メーカーの出展も多く、自動運転のデモをはじめ、4GLTE搭載車の展示、コネクテッドカーのプラットフォーム紹介、自動車と宅内空調との連携、車載専用タブレットの展示などが行われていたという。


「Android Auto」や「CarPlay」を使ったダッシュボード端末など、自動車関連の展示に力を入れる家電メーカーは多い

ドローンを使った展示やデモが多かったことも2015年の特徴だ。ユニークだったのはQualcommのチップを使ったゴミ箱の展示で、ゴミが溜まる情報をクラウドに上げることで効率的にゴミを収集する。その他にも、Wi-Fiスポットや防災目的での活用も考えられている。

APIの公開で生まれる新たなサービス

フィットネス関連のウェラブル製品では、APIを公開することによって、フィットネススタジオや健康関連企業などのサードパーティが、新たなサービスを作り市場拡大のために動き出しているという。


米フィットネス・ウェアラブル市場トップのFitbit。APIを公開することで、多くのサードパーティアプリが開発されている

また、医療機関向けのエンタープライズソリューションとして、ウェアラブル端末を提供するメーカーも出てきている。ヘルスケアの分野では、眼鏡、マットレス、ベッド、ペット用の首輪、介護や幼児の見守り製品など、さまざまな製品が紹介されていたが、このようなテクノロジー系のイベントでは、APIの公開など、デベロッパー向けのサービスがあると、ビジネスチャンスを求める人たちが集まり盛況になると森氏は説明する。


iHealthは、一般消費者向けの活動量計をカスタマイズしてエンタープライズ向けにも提供している

IoT関連の製品が多数展示されていたCES 2015だが、「モノ×アプリ」が1つの特徴になっている。スマートデバイスのアプリを使ってサービスを提供し、クラウドに蓄積されたデータを活用する傾向が出てきているのだ。

IoTの時代は未来の話ではなく、すでに始まっている

CESの基調講演に登壇したサムスンは、「IoT Has Already Started」を宣言し、未来の話ではなく、5年以内にすべての製品をIoTに対応させると発表した。また、IoTを推進するには、標準化された規格で、あらゆるメーカーの機器がつながるオープンプラットフォームが求められると語った。昨年、サムスンが買収したSmartThingsは、さまざまな通信規格と機器をつなぐハブのような仕組みを作り、機器同士が連携して統合的に管理できるように推進している。


サムスンが買収したSmartThingsは、さまざまな企業とアライアンスを組んでIoTのプラットフォームを推進している

インテルは、2014年にEdisonという小型のCPUを発表しているが、2015年はさらに小型化を実現。センサー、通信、CPUが搭載されたウェアラブル向けの小型モジュール「Curie」を発表し、テクノロジー分野に限らず、ファッションブランドなどと提携したサービス開発も手掛けている。インテルは、さまざまな共同研究・開発を発表しているが、その多くが「テクノロジー企業×非テクノロジー企業」で新たなイノベーションを起こすというものだったと森氏は話す。

大企業のトップが集まったキーノートセッションが開かれるのもCESの特徴の1つだ。2015年は、米国のテクノロジー企業を中心に注目されているキーワード、「Disrupt or be Disrupted(破壊するか、それとも破壊されるか)」をテーマに語られた。

キーノートでは、IoTの成長にともない、昨年だけで過去5000年分に匹敵するIoTのデータが生まれているが、利用価値のあるデータを得て正しく利活用することが重要だと示された。たとえば、気象情報のウェザーチャンネルが集めた最新の気象データを、嵐が来る地域の保険会社に知らせることができれば、その顧客を避難させることが可能になり、ビジネスチャンスにつながる。

また、登壇したCiscoのジョン・チェンバースCEOは、今後、IoTを活用しないと多くの企業がFortune 500など、トップ企業の座を明け渡すことになると警告。Ciscoでは、6000人をレイオフし、新たな能力を持つ6000人を採用するなど、大きな組織変革に取り組んでいることを話した。

CESと同時期に開催されていた、AT&T社のカンファレンス「AT&T Developer Summit 2015」にも森氏は参加している。会場では、IoTの投資は“モノ”ではなく“ソフトウェア”に流れること、エンドユーザーが購入するのが“モノ”であっても、使用体験や機能を提供して差別化するのは“ソフトウェア”であることが話されていたという。また、オープンイノベーションの取組として、コネクテッドホームやコネクテッドカーに力を入れており、APIを提供したハッカソンなども行うことで、次のビジネスにつなげようとしている。

「IoTはさまざまな製品やサービスがネットビジネスと融合するもので、ネットとの接点の設計が重要になる。ネットを含めたUXを作っていくのがIoTのなかで非常に重要で、テクノロジーとUI/UXをセットにすることでイノベーションが起こる。IoTはネットビジネスに近くなっており、そこにはデジタルのUI/UXが必要である」(森氏)


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