Web Advertising Bureau | Web広告研究会

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「いまどき女子のスマホ利用実態――動画は5分まで、SNSはInstagramに移行」2017年7月25日開催 月例セミナーレポート 第1部 イベント報告

  • 掲載日:2017年9月20日(水)

「動画広告の新潮流 ~テレビは大きなスマホです~」と題されたWeb広告研究会の7月月例セミナーが開催された。第1部では、インテージの小金悦美氏と藤原啓志氏が15歳~24歳女性のスマートフォンの利用実態を解説。後半では、サイバー・コミュニケーションズ 山崎 浩人氏が動画広告体系を整理し、企業が動画で何を伝えるべきかを解説した。

長すぎる動画は見ない、スマホネイティブ世代のメディア利用


株式会社インテージ
小金 悦美 氏


株式会社インテージ
藤原 啓志 氏

スマートフォンが日常的なツールとなった現代の若者たちは、スマホをどのように利用しているのだろうか。インテージの小金氏と藤原氏は、「生声とファクトで明らかにする いまどき女子のスマホ事情」と題した講演で、インタビューおよび行動データによる利用実態を明らかにしていく。

現在の高校3年生は、小学校時代からスマートフォンが存在していた世代だ。LINE、Facebook、Twitterといった主要サービスも存在している。このような女子たちがどのような感性でスマートフォンと向き合い、どのように動画と接触しているのか、小金氏は高校3年生、大学3年生、社会人1年目の女子を対象にインタビューを行った。


いまどき女子の時代背景

インタビューに立ち会った藤原氏は、発言は衝撃的だったと話し、インタビューのポイントをまとめる。

まず、どの世代も長尺の動画にネガティブな印象を持っており、社会人は5分、高校生・大学生は5秒くらいまで、全体の傾向として若者は短尺の動画に慣れてしまっているという。動画広告に関しては、5秒でスキップできるインストリーム広告は良心的にとらえているが、スキップできない広告は我慢できずにブラウザをリロードしているようだ。

通信量にはシビアであり、Wi-Fiがない環境では動画はあまり視聴せず、タイムラインに流れてくる動画の自動再生機能はオフにしている。自宅ではPCでも動画を見るというが、これはスマホで動画を見ているとSNSをチェックできないためだ。

アプリの流行り廃りは想像以上に激しく、利用するアプリを厳選している。

SNSアカウントの複数使い分けは当たり前で、いまどきの高校生であれば、お気に入りのアイドルごとに数十のアカウントを使い分けることは珍しくないという。タイムラインに余計な情報を流したくないため、キャンペーン参加専用のアカウントも持っている。


いまどき女子たち(15歳~24歳)のスマホ利用実態


テレビ視聴時間を上回るいまどき女子のスマホ利用

続いて藤原氏は、インテージが持つスマートフォンとテレビのログデータを使い、いまどき女子の行動データを解説していく。

35歳~49歳のテレビっ子世代では、18時~24時のスマートフォンの利用時間をテレビ視聴時間が上回っている。対して、15歳から24歳までのいまどき女子では、すべての時間帯でテレビ視聴をスマートフォン利用が上回っている。

また、いまどき女子のスマートフォン利用時間は1日3~4時間で、SNSに次いで動画視聴に時間を使っていることもわかった。


1日のスマホアプリ利用時間

動画アプリの利用状況は、2016年4月と2017年4月を比較すると、男女全体の平均利用率は約1ポイント増えており(61.5%から62.6%)、視聴時間は3分間長くなっている(10.4分から13.6分)という。


動画アプリのジャンルごとの利用時間

しかし、動画アプリをジャンルごとに分けると違う傾向も見えてくる。YouTubeやニコニコ動画などの動画投稿系、GYAO!やAbemaTVなどの総合VOD系、TVerなどの放送局系に分けると、動画投稿系や総合VOD系は女子高生の利用率が減ってきている。一方、女子高生、女子大生、20代前半の社会人女子のすべてで放送局系の利用率が増えてきている。


いまどき女子の約5割がInstagramを利用

アプリの月間利用数は、どの世代も30個を超えているが、2016年と比較すると若干の減少傾向にある。主要アプリをみると、LINEは女子高生の利用が減り、InstagramとC CHANNELはすべての属性で利用率が増えている。女子の5割近くがInstagramを利用している。


Instagramの利用率が伸び、いまどき女子の5割近くが利用する

YouTube、Facebook、Twitterはいずれも女子高生の利用率が減っており、女子高生がInstagramに移行していることが見て取れると、藤原氏は説明する。


女子高生は流行アプリへのスイッチが顕著

続けて女子高生の1日あたりのアプリ利用時間をエリア別に比較すると、首都圏が3.9時間なのに対して、その他のエリアは2.9時間と1時間の開きがあり、主要アプリの利用時間も首都圏が上回る結果となった。



企業が動画広告で伝えるべきこととは

第1部の後半では、サイバー・コミュニケーションズの山崎氏が登壇し、「動画体系の整理 ~企業は、何をどう伝えるべきか?~」として、前半のいまどき女子たちの行動を背景に、企業は動画をどのように活用すべきかを話した。

株式会社サイバー・コミュニケーションズ
山崎 浩人 氏

まず山崎氏は、2017年のカンヌライオンズのPR部門でGOLDを受賞した「THE DNA JOURNEY」の動画を紹介する。


https://www.momondo.com/letsopenourworld/dna

旅行検索サイトのmomondoが制作したこのPR動画は、社会課題の解決として「民族紛争なんて馬鹿げている」ことを訴え、企業メッセージとして「もっと世界を旅しよう」と投げかけている。今年のカンヌライオンズでは、Social Goodや、AIの登場に相反したヒューマンな表現スタイルの作品が多くなり、さらにフィルム部門が大トリに戻って、映像の価値が見直されているという。

こうした社会とマーケティングの潮流から、いま企業は何を伝えるべきか。3.11の大震災以降、消費者の価値観の変化が起きていると話す山崎氏は、「消費者インサイトはさらに本物を求めるようになっている」と説明する。消費者は本当に生活やインフラに必要なものを求め、将来の発展につながるものにお金を出す。こうした価値観の変化をとらえて、「これから先、企業価値を感じてもらえるだろうか」と考えることが重要だ。

フィリップ・コトラーが提唱したマーケティング4.0では自己実現が唱えられているが、現在の若者はお金などよりも「社会貢献がかっこいい」と感じているという。また、8人の富豪が世界人口の半分と同等の資産を持っているといわれるなか、格差社会が広がり、大資本家や大企業への信頼が揺らぎつつあると山崎氏は説明する。


動画がブランドコミュニケーションの起点になる

動画活用のヒントとして、山崎氏は、企業が提供する動画CMは作品性が問われる時代となっているという記事を紹介する。

これからはテレビCMを大量投下するような従来の手法ではなく、見たいと思ってもらえる作品性の高い動画を通じたブランドコミュニケーションが増えていくという。

また海外では、社会的存在意義、リアルなストーリー、テクノロジー、コアアイデアなどで企業が事業価値の共有や理解を訴え、何度でも見たくなる動画が制作されていると山崎氏は話す。対して日本は、タレントやフィクション、機能的訴求、賑やかしが傾向として多く、クリエイティブの差が広がりつつあることを実感していると山崎氏は述べる。

作品性の高い日本企業の事例として山崎氏は、花王が3年前に公開したWeb動画「おねしょが贈るラブストーリー」を紹介。戦略のプランニングやクリエイティブがしっかりしていると評している。


子供を育てるママに向けた応援メッセージ「おねしょが贈るラブストーリー」(現在は公開終了)

現在は、自社をアピールするよりも、ターゲットを称えるプランニングが重要だと山崎氏は話を続ける。しかし、前述のインテージの講演のように動画視聴してもらえる時間が5秒となると、表現には限界がある。


動画広告の課題とポイント

企業に対して本質が求められているなかで、消費者は動画を5秒しか視聴しない。社内では、ブランドプロミスをじっくり伝えたいという担当者の思いに反して、経営側は売上や結果を求めてきている。


動画広告体系を整理する

動画広告体系に話を移す山崎氏は、IMC(インテグレート・マーケティング・コミュニケーション)というフレームワークを説明する。IMCは、社会課題とブランド価値を作品性で包み込み、社会から消費者へ、企業ブランドから商品ブランドへ、社会的価値から価値体験へとシフトして伝えていくフレームワークだ。IMCでは、課題に対して動画がどのように活用できるか考えることが重要になる。


企業が持つ課題に対して動画はどのように活用できるのか

続いて、テレビCMと動画広告をどのように組み合わせるかについて山崎氏は説明を続け、「NTTドコモのオンラインメディアを統合したマーケティングへの取組み」やユニリーバの事例を挙げる。両社のようにリーチ拡大や態度変容、販促などで効果を上げた事例はある。ただし、テレビCMの内容ありきであるため、テレビ側の担当者や予算が異なる場合はコントロールしづらいと話す。


テレビCMと動画広告の掛け合わせによる効果

動画広告単体で考えた場合は、動画広告の尺を自由に調整できることがポイントになる。長尺のネット動画で共感を得てから短尺のテレビCMに編集したり、短尺で興味をひいてから長尺の動画でブランド価値を伝えたりする。認知、共感、理解、販促など、目的別に動画を制作する方法もある。


テレビCMと動画広告、それぞれの特性を踏まえた活用法

また、これまではテレビで認知を獲得してからネット動画で共感を得ることが多かったが、情報過多の現代において、テレビだけで認知を取ろうとしても昔ほど簡単に広がるわけではない。これからは逆のパターン、共感を得てから認知を広げるのも1つの方法だと山崎氏は述べる。

さらに現在は、さまざまな動画プラットフォームがある。従来のように、ユーザー数が多い予約型のメディアを使うだけではなく、今後はさまざまな工夫が必要になる。これからは、多くのメディアが活躍してくるだろうと山崎氏は最後に述べた。
 

 

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